コロナ禍で注目されるロコモ予防:自宅で継続できる運動と工夫

コロナ禍で注目されるロコモ予防:自宅で継続できる運動と工夫

1. はじめに:コロナ禍とロコモへの関心の高まり

新型コロナウイルス感染症の拡大により、私たちの生活は大きく変わりました。外出自粛やリモートワークが続き、多くの人が「家で過ごす時間」が増えています。その結果、運動不足を感じたり、健康について不安を持つ方も多いのではないでしょうか。

特に最近、「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」という言葉を耳にする機会が増えてきました。ロコモとは、筋肉や骨、関節など体を動かすための組織が衰え、歩行や日常生活に支障が出てしまう状態を指します。年齢だけでなく、生活習慣や活動量の減少によってもリスクが高まるため、若い世代にも無関係ではありません。

コロナ禍でなぜロコモ予防が注目されるのか

以前は毎日の通勤や買い物、外出時の歩行などで自然と体を動かしていた私たちですが、今ではその機会が大幅に減っています。運動不足は筋力やバランス能力の低下につながりやすく、「ちょっとした段差につまずく」「長時間座ったままで腰が痛くなる」など、小さな体の変化として現れることもあります。

在宅生活による主な変化と影響

在宅生活の変化 体への影響
通勤・外出機会の減少 歩数・活動量の低下
長時間座ったまま作業 筋力・柔軟性の低下、姿勢悪化
運動習慣の喪失 バランス感覚・下肢筋力低下
健康意識の高まりとロコモ予防への関心

こうした状況から、自宅でもできる簡単な運動やストレッチ、日常生活の中で工夫して体を動かす方法への関心が高まっています。「健康寿命」を延ばし、自立した暮らしを維持するためにも、今こそロコモ予防について考える良いタイミングと言えるでしょう。

2. ロコモとは?改めて知っておきたい基礎知識

高齢化が進む日本では、「ロコモティブシンドローム(略してロコモ)」が大きな社会問題となっています。特にコロナ禍による外出自粛や運動機会の減少が重なり、今まで以上に注目されています。ここでは、ロコモについて基本的な知識を分かりやすく解説します。

ロコモティブシンドロームとは

ロコモは、骨や関節、筋肉など運動器の衰えによって、移動機能が低下した状態を指します。移動機能が落ちると、転倒しやすくなったり、日常生活の活動範囲が狭まったりします。その結果、自立した生活を送ることが難しくなるリスクも高まります。

主な原因とリスク要因

主な原因 具体例
加齢 筋肉量・骨密度の減少
運動不足 活動量の低下、長時間座りっぱなし
生活習慣病 糖尿病・肥満などの影響
怪我・病気 骨折や関節疾患など
こんなサインに注意!
  • 歩くスピードが遅くなった
  • 階段の上り下りがつらい
  • 片脚立ちで靴下が履けない
  • 家の中でつまずくことが増えた

健康寿命との関係

健康寿命とは、「介護を必要とせず、自立して生活できる期間」を指します。日本は世界一の長寿国ですが、平均寿命と健康寿命の差(=要介護期間)は約10年と言われています。ロコモを予防することで、この健康寿命を延ばし、元気に過ごせる時間を増やすことができます。

健康寿命に与える影響(イメージ)

平均寿命 健康寿命
男性(2022年) 81.5歳 72.7歳
女性(2022年) 87.6歳 75.4歳
差(要介護期間) 約10年程度

ロコモ予防は、「いつまでも自分らしく暮らす」ためにとても大切です。次の章では、自宅でできる簡単なロコモ対策運動について紹介します。

自宅でできる!簡単ロコモ予防運動

3. 自宅でできる!簡単ロコモ予防運動

コロナ禍で外出を控える生活が続く中、家の中でも無理なくできるロコモ予防運動が注目されています。特に、シニア世代にも人気の高い「ステップ運動」「スクワット」「椅子を使ったエクササイズ」は、日常生活に取り入れやすく、継続しやすいのが特徴です。ここでは、それぞれの運動方法を分かりやすくご紹介します。

ステップ運動

家の中でも安全に行える「その場足踏み」や「階段の昇り降り」が代表的です。テレビを見ながらでもでき、リズムよく体を動かすことで筋力アップとバランス感覚の維持に役立ちます。

ステップ運動のポイント

運動方法 回数/時間 ポイント
その場足踏み 1日1〜2分×2回 背筋を伸ばしてゆっくり大きく足を上げる
階段昇降 5〜10往復/日 手すりを使いながら安全第一で実施

スクワット

下半身の筋力維持にはスクワットがおすすめです。椅子を使えば転倒防止にもなり、安心して取り組めます。

椅子を使った簡単スクワット

手順 ポイント
1. 椅子に浅く座る
2. 背筋を伸ばしたまま立ち上がる
3. ゆっくり座る(繰り返し)
膝がつま先より前に出ないよう意識する
無理せず自分のペースで行う

椅子を使ったエクササイズ

立ち上がるのが難しい方も、椅子に座ったままできる体操があります。肩回しや足上げなど、小さな動きでも毎日続けることが大切です。

座ったままできる体操例

エクササイズ名 方法・回数目安
肩回し体操 両肩を大きく10回ずつ回す(前後)
膝伸ばし体操 片脚ずつ膝を伸ばし5秒キープ×各10回
つま先上げ・かかと上げ体操 交互に20回ずつ繰り返す
毎日の習慣化がポイント!

どの運動も、ご自身の体調や体力に合わせて無理なく続けることが大切です。家族と一緒に楽しみながら、気軽にロコモ予防に取り組んでみましょう。

4. 運動を続けるための工夫と日常生活への取り入れ方

モチベーションを保つコツ

自宅での運動は、最初はやる気があっても続けるのが難しいこともあります。そこで、モチベーションを維持するための工夫が大切です。例えば、「カレンダーに運動した日を記録する」「お気に入りの音楽をかけながら運動する」「家族や友人と一緒にオンラインで運動時間を共有する」など、ちょっとした工夫で毎日の習慣にしやすくなります。

モチベーションを維持するアイディア一覧

アイディア 効果
運動カレンダーをつける 達成感が得られる
好きな音楽をかける 気分が上がりやすい
目標設定(例:1週間続ける) 小さな成功体験につながる
家族や友人と報告し合う 励まし合いができる
SNSで進捗をシェア 外部からの応援がある

和室や狭いスペースでもできる運動の工夫

日本の住宅事情では、和室や限られたスペースしかない場合も多いです。そんな時は「場所を取らない運動」を選ぶことがポイントです。畳1枚分ほどのスペースがあれば、スクワットや膝上げ運動、ストレッチなど多くのエクササイズが可能です。また、家具に手を添えてバランス運動も安全にできます。

狭いスペース向き簡単エクササイズ例

運動名 方法
スクワット 足を肩幅に開き、お尻をゆっくり落とすだけ。椅子につかまりながらでもOK。
その場足踏み 腕を振りながら膝を高く上げて、その場で行う。
壁立ちストレッチ 背中を壁につけて立ち、肩甲骨を寄せる。
片足立ちバランス キッチン台などにつかまりながら片足で立つ。
座ったまま体ひねり 椅子に座って上半身を左右にひねる。

日常生活への自然な取り入れ方

特別な時間を設けなくても、家事や日常動作と組み合わせてロコモ予防の運動ができます。例えば「掃除機をかける時につま先立ち」「テレビCM中に軽くスクワット」「歯磨きしながらかかと上げ」など、無理なく生活に組み込むことが継続のポイントです。

生活の中でできるミニ運動例
  • 歯磨きタイム=かかと上げ10回チャレンジ!
  • 洗濯物干し=背伸びストレッチ追加!
  • トイレ後=その場足踏み30秒!
  • テレビ鑑賞中=CMごとに膝伸ばし!
  • 買い物帰り=階段利用で筋力アップ!

このような簡単な工夫やアイディアなら、日本の住環境でも無理なく実践できます。「頑張りすぎず、できる範囲で」まずは一歩踏み出してみてください。

5. 家族や地域とのつながりを活かしたロコモ対策

コロナ禍で外出や人との交流が制限される中、高齢者のロコモ(運動器症候群)予防には、家族や地域とのつながりを活かした工夫がとても大切です。日本では昔から「ご近所付き合い」や「家族団らん」が大事にされてきました。今こそ、その文化や絆を上手く利用して、みんなで支え合いながら健康を守る方法を考えてみましょう。

オンライン体操でつながろう

外出自粛が続く中でも、インターネットを使った「オンライン体操」が注目されています。パソコンやスマートフォンを使えば、自宅にいながら離れた家族や友人、地域の仲間と一緒に体操することができます。自治体や地域包括支援センターが主催するオンライン教室も増えてきました。

メリット ポイント
自宅で安全に参加できる 天候や感染リスクを気にせず運動可能
コミュニケーションも取れる 画面越しに声かけ・励まし合える
習慣化しやすい 決まった時間にみんなと実施できる

地域見守りネットワークの活用

日本各地には、町内会や民生委員など、地域ぐるみで高齢者を見守る仕組みがあります。コロナ禍では直接訪問が難しい場合もありますが、電話やLINEなどの連絡手段を使って、「最近どうですか?」と声をかけ合うだけでも大きな支えになります。地域の見守り活動と組み合わせて「今日は体操できましたか?」と確認しあうことで、運動の継続にもつながります。

見守り活動の例

活動内容 具体例
電話による安否確認 週1回程度の定期連絡
SNSグループ作成 体操の報告・励まし合い
ポスト投函型お便り 運動チェックリスト配布など

家族で取り組む工夫

家族がいる場合は、一緒にロコモ予防に取り組むことで楽しさもアップします。「今日の体操は何分できた?」「一緒に散歩に行こう!」など声かけし合うことで、お互いのモチベーション維持につながります。また、小さなお子さんがいる家庭では、おじいちゃんおばあちゃんと一緒に遊び感覚で簡単な運動を取り入れると世代間交流にもなります。

家族でできる工夫例
工夫内容 具体的な方法
スケジュール共有 カレンダーに体操予定を書き込む
ミニゲーム化する バランスゲームや歩数競争などで楽しく運動
成果を褒め合う できたことを家族内で報告・拍手する習慣づくり

このように、日本ならではの家族や地域の絆を活かすことで、自宅でも無理なくロコモ予防が続けられます。身近な人とのコミュニケーションを大切にしながら、みんなで健康づくりに取り組んでいきましょう。

6. 専門家のアドバイスを上手に利用しよう

ロコモ(ロコモティブシンドローム)予防のためには、日々の運動や生活習慣も大切ですが、専門家のサポートを受けることで、より効果的に自宅での取り組みを続けることができます。特にコロナ禍では外出を控える方が増えていますが、日本には在宅医療やリハビリのサービス、かかりつけ医など、活用できる医療・福祉の支援がたくさんあります。

在宅医療・リハビリスタッフへの相談

自宅で過ごす時間が長くなると、体力や筋力の低下が心配になります。在宅医療や訪問リハビリテーションでは、理学療法士や作業療法士など専門スタッフがご自宅を訪問し、一人ひとりに合った運動プログラムや生活動作の工夫を提案してくれます。

利用できる主なサービス例

サービス名 内容 相談先
訪問リハビリテーション 自宅で行う運動指導・生活動作訓練 かかりつけ医・ケアマネージャー
訪問看護 健康チェックや生活指導 地域包括支援センター・医療機関
オンライン健康相談 ビデオ通話などでの運動・健康アドバイス 自治体・保険組合・民間サービス

かかりつけ医への相談のポイント

普段から信頼できる「かかりつけ医」を持つことで、自分に合ったロコモ対策や運動方法について気軽に相談できます。転倒予防や食事面での注意点など、医学的な視点からアドバイスをもらえるので安心です。

相談時に伝えたいことリスト

  • 最近感じている身体の変化(筋力低下、歩きづらさ など)
  • 現在行っている運動内容や頻度
  • 体調不良や痛みがある部位について
  • 日常生活で困っていること(階段昇降、立ち上がり など)

地域資源を活用しよう

日本各地には、高齢者向けの介護予防教室やオンライン講座なども充実しています。自治体によっては無料相談会やパンフレット配布も行っていますので、積極的に情報収集してみましょう。

まとめ:身近な専門家と連携しながら、無理なく続けることが大切です。困ったときは一人で抱え込まず、専門スタッフやかかりつけ医に早めに相談しましょう。

7. まとめ:自宅でできることから始めるロコモ予防

コロナ禍をきっかけに、外出の機会が減り、運動不足を感じている方も多いのではないでしょうか。しかし、ロコモティブシンドローム(ロコモ)を予防するためには、特別な道具や広いスペースがなくても、自宅で簡単にできる運動や工夫を日々の生活に取り入れることが大切です。小さな積み重ねが、未来の自分や家族の健康を守る一歩につながります。

毎日の生活でできる小さな工夫

工夫 具体例
座り時間を減らす テレビを見るときは30分ごとに立ち上がってストレッチ
家事を活用する 掃除や洗濯物の上げ下ろしを丁寧に行う
階段を使う エレベーターではなく階段を利用してみる
バランス運動 歯磨き中にかかと上げ運動をする
意識的に歩く 買い物時は遠くのスーパーまで歩くようにする

自宅で継続しやすい運動例

  • スクワット:テレビを見ながら10回ずつ行うだけでも効果的です。
  • 片足立ち:キッチンで料理中など、1分ずつ左右交互に挑戦してみましょう。
  • ゆっくり立ち座り:椅子に座ったり立ったりする動作を、5回ほど繰り返します。
  • タオル体操:タオルを両手で持ち、肩甲骨を意識して上下左右に引っ張ります。

小さな一歩が未来につながる理由

「毎日続けられるかな?」と不安になることもあるかもしれません。でも、大切なのは完璧を目指すことではなく、「今日は少しだけでも動いた」という達成感を積み重ねていくことです。家族や友人と声を掛け合いながら、お互いの健康づくりを応援しましょう。

今日からできることリスト
  • 朝起きたら軽くストレッチする
  • 掃除・洗濯など家事も運動として意識する
  • SNSやアプリで運動記録をつけてみる
  • 無理せず、自分のペースでチャレンジする

コロナ禍という時代だからこそ、自宅でできる小さな工夫や運動から始めてみませんか?未来の自分と大切な家族のために、今日できる一歩を一緒に踏み出しましょう。